ピロリ菌検査で中学から胃がん予防

ピロリ菌検査、中学から 将来の胃がん予防へ続々

医療費抑制に自治体期待 水戸市、中2全員
将来の胃がん予防のため、中学生を対象にピロリ菌の感染検査を導入する自治体が増えてきた。
ピロリ菌は胃炎や胃がんを引き起こす原因になる。
抗生物質を使った除去治療ができる年齢に達した段階で検査を受けることで、胃がんの予防につなげる。
 
水戸市は今年11月から市立中学2年生約2200人を対象に感染検査をする。
検査費用などで約300万円の予算を確保した。
 
「がんを予防することで将来的な医療費の抑制が期待できる。がん検査の受診率を上げるなど意識づけにもつなげたい」と関係者は話す。
 
兵庫県篠山市は2014年度から中学1年生を対象に、健康診断の尿検査を利用してピロリ菌の感染検査を実施する。
費用は市が負担。
これまでに複数の生徒が陽性と判定された。
 
「早めに分かってよかった」。
学校を通じた検査でピロリ菌の感染が分かり今年、抗生剤治療を受けた同市の男子中学生(15)の母は胸をなで下ろす。
 
市が検査を始めたきっかけは、兵庫医科大ささやま医療センター(同市)が12年に実施した研究だ。
同意が得られた市内の中学生への検査で、約4%の生徒に陽性反応が出た。
13年度に市が保護者にアンケートしたところ、ピロリ菌の感染検査を「希望する」との回答が9割以上に上った。
 
同市は14年度から約150万円の予算を確保し、これまでに約千人の生徒が受けた。
陽性だった場合の除去費用も市が助成する。
中学生の段階でピロリ菌を除去できれば、がん予防の効果は高い。
 
ピロリ菌は近年の研究で胃がんとの関連が指摘されている。
世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関は14年「胃がん対策ではピロリ菌除去に重点を置くべきだ」と発表。
国内の専門学会も16年に改定したピロリ菌感染の予防や治療に向けた指針で、中高生ら若い年齢層での検査が「特に重要」と指摘する。
 
感染検査は尿検査などでスクリーニングを行い、疑いのある人には呼気を用いた検査を行ったり、便中の抗体を調べたりするのが一般的な流れ。
感染が判明すれば、薬を飲んで除菌する。
スクリーニング費用は数百円から千円程度で済む。
 
県全体で取り組むのは佐賀県
16年度に佐賀大に「事業センター」を設置し、県内の中学3年生約9千人の検査費用や運営費のため、約3千万円の予算を確保した。
県健康増進課の担当者は「財政状況は厳しいが、なんとか捻出できる金額。
子供たちのために続けていきたい」としている。

親が保菌なら子の感染率高く
ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれ、1983年に発見された。
その後の研究で慢性胃炎胃潰瘍などの原因になっていることが分かった。
胃がんの99%はピロリ菌感染の影響があるとする研究結果も出ている。
日本では50歳以上の半数以上が感染しているとされ、感染者は約6千万人に上るとの見方もある。
感染の原因ははっきりとは分かっていない。
衛生状態が悪い途上国で飲料水からの感染が報告されているほか、親が保菌していると子供の感染率が高いことから、食べ物の「口移し」などで感染すると考えられている。

参考・引用
日経新聞 2017.8.21


<関連サイト>
ピロリ菌備え 中学から検査
https://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43387192.html