大腸がん、右側だと治りにくく
今、日本人に最も多いがんが大腸がんだ。年間で大腸がんで亡くなる人の数は日本が米国を上回っている。
大腸は、小腸に続いて右下腹部から始まり、おなかの中を時計回りにぐるりとほぼ1周して肛門につながる。
長さは1.5～2メートルほど。結腸（盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸）と直腸に分けられる。
大腸を自分から見て左右に分けると、右側には盲腸、上行結腸、横行結腸の一部がある。
一方、大腸を自分から見て左右に分けると、右側には盲腸、上行結腸、横行結腸の一部がある。
一方、左側にあるのは横行結腸の一部、下行結腸、Ｓ状結腸、直腸だ。
日本人の大腸がんの約7割がＳ状結腸と直腸、つまり左側にがんができる。
ただ最近は右側での結腸がんも増えている。
最近の研究から、大腸がんができた部位が右か左かによって、抗がん剤の効果や治癒率などに差があることが分かってきた。
そもそも発生学的にみても、大腸という臓器は左右で作られ方が違う。
原始的な腸管は前腸、中腸、腹膜の３つに変化する。
このうち前腸から耳や喉、食道、胃などが作られる。
中腸からは小腸や大腸の右側、後腸からは大腸の左側が形成される。このため小腸に栄養を届ける「上腸間膜動脈」が大腸の右側もカバーしている。
大腸の左側は「下腸間膜動脈」という別の動脈が担当する。
大腸は中腸と後腸に起源を持つ２つの臓器が合体してできた臓器といえる。
原始的な腸管は前腸、中腸、腹膜の３つに変化する。
このうち前腸から耳や喉、食道、胃などが作られる。
中腸からは小腸や大腸の右側、後腸からは大腸の左側が形成される。このため小腸に栄養を届ける「上腸間膜動脈」が大腸の右側もカバーしている。
大腸の左側は「下腸間膜動脈」という別の動脈が担当する。
大腸は中腸と後腸に起源を持つ２つの臓器が合体してできた臓器といえる。
米カリフォルニア大などの研究チームは、手術ができない大腸がん患者のデータを使い、右側にがんができた患者約290人と、左側にがんができた約730人を比較した。
その結果、生存期間の中央値は左側が33.３ヵ月だったのに対し、右側は19.４ヵ月で、大きな差がみられた。
大腸がん患者110人を解析した日本の研究でも、左側は生存期間が約3年で、右側より約2年も良かったという結果が出ている。
国内外の複数の研究を総合的に分析した結果でも、右側にできた大腸がんは左側より治りにくいことが確認されている。
今後、大腸がんの位置によって治療法が分かれる可能性もあると思われる。
もともと大腸の右側と左側は別な臓器ともいえるわけだから、治療法が違ってくるのは当然かもしれない。
執筆 東京大学病院准教授・中川恵一 先生
その結果、生存期間の中央値は左側が33.３ヵ月だったのに対し、右側は19.４ヵ月で、大きな差がみられた。
大腸がん患者110人を解析した日本の研究でも、左側は生存期間が約3年で、右側より約2年も良かったという結果が出ている。
国内外の複数の研究を総合的に分析した結果でも、右側にできた大腸がんは左側より治りにくいことが確認されている。
今後、大腸がんの位置によって治療法が分かれる可能性もあると思われる。
もともと大腸の右側と左側は別な臓器ともいえるわけだから、治療法が違ってくるのは当然かもしれない。
執筆 東京大学病院准教授・中川恵一 先生
