親知らず

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不快なら抜歯がお勧め

「抜くべきか、抜かざるべきか」。
「親知らず」で悩んでみえる方も多いのではないでしょうか。
きょうは新聞記事から「親知らず」をとりあげてみました。

    ■ □ ■
「第3大臼歯」とか、英語の「ウイズダム・ティース」から「知歯(智歯)」と呼
ばれる親知らず。
なぜ、大きくなってから生えてくるのだろう。
ほかの歯はみんな子どものころに生えそろうのに。

「親知らずは退化している途中の歯なんです」と、歯の進化に詳しい鶴見大短期大学部
の後藤仁敏教授(解剖学)は話す。
人の歯はすべて生えると32本ある。
でも親知らずが1~3本だったり、生えなかったりする人も。
元々ないケースもある。

「昔に比べて軟らかい食べ物が多くなり、よくかまなくなった。その結果、歯が退化
したり、歯はあるのに顎(あご)が退化して、歯の出るスペースが狭まり出にくくなった」。
かつては欠かせなかったが、環境の変化で、必要性が失われてきた。

親知らずはトラブルになりやすい、と言われるのも、こうした影響だろうか。

石井歯科医院(新潟市)の石井正敏院長は「横向きに生えて隣の歯を押すケースが多い。
下顎で下向きに生えてくるひどい場合もあります」という。

生え方によっては、正常な歯並びを悪くすることがある。
ほかの歯に当たる部分が虫歯になりやすいし、歯茎から頭が少しだけ外に出ると汚れが
つきやすい。
歯ブラシも届きにくく、細菌が感染し、「知歯周囲炎」という炎症の原因になる。
痛みのほか、口が開かないといった症状が出る。

石井さんは、患者の理解が得られるなら、手術がしやすく、組織の回復力が高い10代で
抜くことを勧める。
年齢が高くなると、骨が硬くなって難しくなる、という。
    ■ □ ■
しかし、なるべくなら抜かずに済ませたい、と願うのは皆同じ。
それに、悪さをするばかりではないだろう。

上と下が正常に生え、かみ合わせがうまくできている場合はとくに問題はないのでは
ないだろうか。
手前の大臼歯がすでに抜けているとか、虫歯で失われる可能性が高いといったような場合
も、親知らず自体にトラブルがない限り残しておいてもかまわないのでは。
 
東京厚生年金病院(東京都新宿区)の立花忠夫・歯科口腔外科部長は「不快な症状がある
なら、抜くのを勧めます」と話す。

とくに知歯周囲炎を繰り返すとか、ほおの内側をよくかむ、付近に病気があるような場合
は抜歯が必要だという。

そうでない場合は、「汚れが付かないよう丁寧に磨くことを心がけ、悪い影響が出ていない
かどうか、定期的に歯科で診てもらうことを忘れないで下さい」。

抜歯にも問題がある。
元通りにかめるようになるまでに1週間から、10日はかかる。
「痛みや腫れが取れない」「しびれが残った」といったトラブルだってある。
「説明をよく聞いて、抜く場合も、納得してからにしてほしい」と立花さんは話す。
             

「歯の銀行」

最近、矯正治療で抜いた歯を、別の歯が抜けた場合に備えて凍結保存しておく
「歯の銀行」もできている。
親知らずは、その格好の対象になる。

広島大発のベンチャー企業「スリーブラケッツ」(http://www、teethbank.jp/)は
提携煙歯科が抜いた歯を、患者の希望に応じて凍結保存している。
過去に抜かれた歯は預けられないし、他人への移植はできない。
期間は最長40年。
保管料などが要る。

朝日新聞 2007.12..9
版権 朝日新聞社
(一部改変)

<関連記事>
軟らかい食物影響、幼児期によくかむ習慣を--鶴見大短大・歯科衛生科学生が調査
若い女性の上あご、奥歯が退化」。こんな現象が、鶴見大短大(横浜市鶴見区)の歯科衛生科
の学生による調査で明らかになった。
指導の後藤仁敏教授(59)は「軟らかい食物の影響で、かむ力が弱くなっている。
丈夫な歯にするには、幼児期の食育が大切」と警告する。

05年度の卒業生5人と06年度の卒業生2人の卒論としてまとめられた。
対象は20歳前後の級友の女性計83人。歯型を採り、アンケートをした。

歯の数は32本(親知らずがある)から24本(歯列矯正での抜歯など)。
05年度は平均27・1本。06年度は同28・7本だった。

調査の結果、一番奥の第三大臼歯(親知らず)の退化傾向が、下あごより上あごで目立った。
06年度の場合、上あごの親知らずがない人は77・5%で、その原因は先天欠如か未萌出
(20歳前後で生える例が多い)。
下あごでは75%だった。

また、咬頭(奥歯表面の凸凹)は通常四つだが、三つとか三角形に退化傾向が分かった。
06年度の場合、第二大臼歯(親知らずの一つ前)の退化は75・9%で、下あごより上あご
で目立った。

今年度も女学生40人を対象に、調査が進められている。
後藤教授は「06年度の卒業生のほうが退化が進んでいる。犬歯など前歯でも、上あごのほう
が退化傾向だ。昔はスルメのようによくかむ食物が多かったが、今はハンバーグなど軟らかい
食物が主流になり、上あごのかむ力が弱くなっている」と分析。「乳歯から永久歯に生え
変わる幼児期に、よくかむ食事習慣をつけることが大切」とアドバイスする。
(毎日新聞)


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