「ひねり」で眠れる筋肉呼び覚まし

「ひねり」で眠れる筋肉呼び覚まし 競技力向上 動作しなやかに、シェイプアップも

運動時に全力を出しているつもりでも、筋肉の細胞「筋繊維」がフル稼働していない。

ひねり運動で眠っている筋肉を刺激して、美しい身のこなしや競技力向上、シェイプアップを目指そう。

 

人が動くとき、体では複数の筋肉が連鎖して働く。

例えば歩行時、力が地面から足の筋肉に伝わり、その後お尻や体幹、上肢に伝わって体が前進する。

たくさんの筋繊維が働いていると、スムーズで理にかなった身のこなしが実現する。

 

ところが実際は、筋肉を構成している筋繊維の全てが動いているわけではない。

一般的な筋力アップのトレーニングは、筋肉の直線的な伸び縮みが中心だ。筋繊維を単一的に動かすだけだと、常に使う筋繊維と使われないままの筋繊維に分かれてしまう。

 

筋肉が収縮する活動(筋活動)を活性化するには、働いている筋繊維を増やすことが重要。

そのためには神経刺激と、効果的な筋活動の連鎖が必要だ。

そこでダイナミックなひねりの運動の効果に注目し、段階的に取り組んでいこう。

 

まずは「腕ひねり」から。

両腕を横に伸ばし、右腕を前に、左腕を後ろに、親指から回していく。

できるだけ丁寧にゆっくり回そう。

これ以上回せないところまで来たら、前後を入れ替えて反対方向に回す(往復で10回程度)。

眠っている筋がじわじわと目覚めていくのを感じ取ろう。

 

続いて、多くの筋が周りに付着している股関節をひねる。

電車の中や家事の合間に手軽に取り組めるのは、床につま先をつけたまま、膝を開く・閉じる動作。

小さな動きだが、繰り返すことで効果が期待できる。

 

本格的に取り組むなら「脚の内外旋」を試そう。

足を前後に開き、前にした脚を、膝を90度に曲げながら持ち上げ、軸足の後ろ側にゆっくり下ろす。

下ろした脚を再度持ち上げて、元の位置(軸足の前)に戻す。

往復5~10回程度が目安で、反対の足も同様に上げ下ろしする。

脚をいきなり高く上げすぎないよう注意したい。

 

仕上げの全身運動は、体幹ひねり。

両足を腰の幅に開き、軽く重心を落として構える。

右足に重心を乗せて、左脚を上げて右足の斜め後ろへ。

同時に左腕を右側にパンチするように突き出す。

 

続いて、移動した足と腕を最初の構えに戻し、今度は反対側の足と腕を同様に動かす。

左右の動作のセットを10回程度繰り返す。

軸足の後ろに下ろす足の位置を、軸足から徐々に遠くすると効果が上がるが、無理は禁物。

 

上半身と下半身がねじれるのを感じる程度で十分だ。

いずれの運動も、体軸をまっすぐに保ちながらひねるとより効果的だ。

背中の筋からお尻の筋まで、腰部にある筋膜を通って対角線上につながっているからだ。

1つの筋肉を単一的に鍛えるだけでなく、複数の筋肉の連鎖を活用した機能的な運動を取り入れて、美しくしなやかな身のこなしを目指そう。

 

日経新聞・朝刊 2017.10.7

 

 

写真あり

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO21931360V01C17A0W10601?channel=DF140920160920&nra