あぶない「やせた高血圧」   その1(1/2)

減量効果薄く 節酒・減塩心がけて

太っていなくても、高血圧や高血糖があれば、心臓や脳の血管の病気にかかる
確率は高くなる。
でも、もともとやせている人には、メタボ対策の柱となる「減量」は効果が
あまり期待できない。
塩分やお酒が多くなりがちな食習慣、肥満度が低くても糖尿病になりやすい
日本人の体質などを踏まえて、対処しよう。


大津市半導体メーカー「NECセミコンダクターズ関西」。
9月25日、会議室に集まった社員たちは皆、すらっとした体形だった。
 
肥満ではないけれど、血圧が高め。
そんな人を対象にした同社の健康教室「ピチピチ血管倶楽部」の初会合。

講師の医師が「高血圧を放置すると、若い人ほど死亡リスクが高まります」
と説明した。
 
竹島清一さん(42)は身長178センチ、体重71キロ。
BMI22.4で、肥満となる25をだいぶ下回るが、血圧は収縮期130、
拡張期圧91で軽症の高血圧。
「正常値(同130未満、かつ同85未満)までは下げたいです」
 
参加者は家庭用血圧計を使って毎日2回ずつ値を測定し、定期的に保健師らの
指導を受けながら、3カ月かけて血圧低下をめざす。
 
教室は、研究の一環でもある。
太っていない人が生活習慣病のリスクを効果的に下げられる保健指導法を
つくるのが目的だ。
太っていなくても、高血圧や高血糖といった因子が複数あると、心筋梗塞
脳卒中で亡くなるリスクが高まることが分かっている。
 
太った高血圧なら、減量で改善が期待できる。
やせた人はそうもいかず、職場の保健師たちが取り組める簡便な指導法がない。
「対策の柱は薬」と考える医師もいる。
       
研究代表の岡村智教(とものり)・国立循環器病センター予防検診部長は、
「まずは生活習慣での改善をめざしたい。そうすれば、たとえ薬が必要になっても、
量や種類は少なくてすみます」と語る。
 
日本で高血圧の人は昔からいたが、肥満はあまり関係していなかった。
「塩分や酒をたくさんとり、カルシウムやカリウムの摂取が少ない。そんな
日本特有の食習慣との関係が深い」と、大阪大の磯博康教授はいう。
 
健康教室では参加者に、尿の塩分を測る特殊な紙を配った。
これで、1日の食塩摂取量を推定する。
 
日本の大人がとる食塩は1日12グラム前後。
体重あたり摂取量でみると、英米の倍近いという報告もある。
6グラムまで減らせば、個人差はあるものの、収縮期の値が6くらい下がる
とされる。

日本男性の1日あたり飲酒量も、米国の2.7倍、英国の1.6倍だという
調査がある。

日本酒換算で毎日2~4合(ビ-ル大瓶2~4本)ほど飲む人が、飲酒量を
約7割減らせば、収縮期が3くらい下がるという研究がある。

カルシウムは、日本人に不足する栄養素の一つ。
磯さんらの調査だと、カルシウム摂取量が100ミリグラム増えると、収縮期
の値が0.5あまり下がるという。
カリウムは野菜や果物に多く、塩分を体外に出す働きがある。

出典 朝日新聞・朝刊 2008.10.12
版権 朝日新聞社

<コメント>
日本人は食塩中毒民族とも言われています。
与えるエサの塩味に慣れてしまった日本のサルはりんごに海水をつけて食べる、
つまり塩味がないと食べれないというエピソードもあるそうです。
       
さて塩分の摂取推奨量と上限(g/日)は以下のようです。
摂取推奨量は厚労省「2005年度食事摂取基準」によると摂取の推奨量と上限は
20代~50代の男性で1.5g 、上限10g
20代~50代の女性で1.5g 、上限は8g

日本ではこの量が上限となっていますがWHO(世界保健機関)では6gを上限として
います。
1.5gは必要な量です。
人間に限らず動物は塩分なしでは生きていけません。
カップラーメンを1個食べつくすと7~8グラムの塩分摂取になってしまうこと
があります。
お店のラーメンも例外ではありません。


ちなみに、成分などがナトリウムで書いてあるとき、塩分に換算する方法は次の
とおりです。

食塩相当量(g) = ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000
つまり概略、ナトリウム(mg) ×0.04ということになります。

ナトリウム400mg弱で食塩1gと覚えて、注意するといいと思います。
(実際には約393mgで食塩1g)
ナトリウム量=食塩量ではないので、間違えないように注意が必要です。

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読んでいただいて有難うございます。
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