カルシウムとビタミンD

まずビタミンDと活性型ビタミンDのお話から始めます。

ビタミンDは食品に含まれる”栄養素”です。
このビタミンDは魚肉やキノコ類などの食品に多く含まれ、皮膚でも合成されます。
その中でも、活性型ビタミンDは主に体内のカルシウムの動きを調節する”ホルモン”です。
このように両者は違うものなのです。
ビタミンDと違って、この活性型ビタミンDは食品やサプリメントには含まれていません。
ビタミンDは腸から吸収されると、肝臓と腎臓で酵素の働きを受け、活性型ビタミン
(1,25(OH)2D)に変化します。

肝臓、腎臓で代謝を受けて活性化されたビタミンD(活性型ビタミンD)は、小腸からの
カルシウムの吸収を助けます。
その作用で、食事から摂取したカルシウムを効率よく体内に取り込むことができます。
また、活性型ビタミンDは腎臓の尿細管にも作用し、尿に排泄されたカルシウムをもう一度
吸収するように働きます(再吸収)。
このように体内のカルシウムの利用効率を高めるように働くのが活性型ビタミンDといえます。

加齢によって、日照を浴びる機会が少なくなり、皮膚でのビタミンDの産生量が低下したり、
喫食量や回数が少なくなりビタミンDの摂取量が低下すると、ビタミンDの不足に陥りやすく
なります。
さらに、腎臓・肝臓でのビタミンDの活性化の低下がおこります。
加えて、カルシウムの摂取量が不足し、腸管でのカルシウムの吸収率も低下します。

最近では、ビタミンDが不足した状態が長く続くと腰椎の骨密度の低下や圧迫骨折が起こり
やすくなることが分かってきました。

ビタミンD不足は、筋力低下や足の痛み、筋力の衰えなどの身体機能の低下にも関連している
といわれています。
その結果として日照を浴びる時間が更に短くなり、ビタミンD不足に陥りやすくなります。

最近、ビタミンDや活性型ビタミンDとカルシウムを服用することで高齢女性の転倒回数が
減少し、筋力の低下を抑えられるという報告が見られるようになり、ビタミンD不足が注目
されるようになってきました。

ビタミンDも活性型ビタミンDも両方が大切ということになります。
イメージ 1

出典 朝日新聞・朝刊 2008.11.10
版権 朝日新聞社
(画像をクリックすると読みやすくなります)

<関連サイト>
カルシウムの吸収にはビタミンD
http://www.richbone.com/recp/cal/main/bd.htm
「骨強化とビタミンD」
http://www.caloricdiet.com/special/articles/vitamind.html
ビタミンDについて
http://plaza.harmonix.ne.jp/~lifeplus/text/vitamin_D.html 

<自遊時間>
その1
ナマケモノの赤ちゃん公開 千葉市動物公園 人工飼育で国内2例
イメージ 2

http://sankei.jp.msn.com/photos/life/trend/081113/trd0811131758010-p1.htm
千葉市動物公園によると、赤ちゃんは8月26日、園内にある施設の地面にいるのが
見つかった。
このとき赤ちゃんは生後1カ月ほど。通常、樹上で生活する母親の腹にしがみついており、
落下したとみられる。
(お母さんも無責任です。さすが”なまけもの”といえばそれまでですが)




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