慢性腰痛

ストレスや社会的要因も関係

誰もが一度は経験するといわれる腰痛。
けがや、ぎっくり腰などによる一過性の腰痛もつらいが、慢性化した腰痛もやっかいだ。
そうした慢性の痛みの軽減に、ストレスに対する心理的アプローチが大切なことが、
注目され始めている。
  
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がんの終末期に、在宅治療で痛みを訴えなかった患者が、入院すると激しい痛みを訴える
例があるように、痛みは、感じ方の個人差だけでなく、環境や心理状態で変化すること
がよく知られている。

「腰痛も例外ではありません。最近は整形外科でも、『腰に異常がある病気』という
考え方から、『心や社会的な要因も関係する症候群』という認識に変わりつつあります」と、
福島県立医科大の菊地臣一学長(整形外科)はいう。
  
海外の研究では、仕事中の精神的ストレスが脊椎への負担や損傷を増やすという報告や、
小児期に受けた虐待が成人後の腰痛と関係があったという報告も、近年、相次いでいる。

福島医大では、10年以上前から、整形外科の受診者に対し、精神科と共同で作った独自
の質問票で心理状態を評価し、治療方針を決めている。
精神的介入が必要と判断される患者で最も多いのが、慢性腰痛を中心とした脊髄、脊椎の
疾患だという。

分析すると、腰に目立った病変はないのに痛みを訴えていることも多く、抑うつや不安感
を抱え、不眠、食欲不振などの症状に悩む傾向もあった。

必要なら、本人にストレスの存在を認識してもらい、抗うつ薬などを処方したり、精神科の
受診を勧めたりする。

もちろん、がんなどのほかの病気や、脊柱管狭窄、ヘルニアなどの病変があって症状が出ている
場合は、それを除く治療をするのが大原則だ。
 
ただ、「腰痛の場合、画像検査で椎間板ヘルニアや、すべり症などと診断されても、損傷の
個所が必ずしも痛みと一致しないことも、実は多い」と神戸労災病院の鷲見正敏・副院長
(整形外科)は言う。
 
そんな場合は手術をしても痛みはとれない。
その結果、患者は医療に不信感を強め、そのストレスで、ますます痛みが悪化し、慢性化する
ケースもあるという。
職場や家庭で問題を抱え、疲れから来る痛みでも、精神的なストレスを理由に休むよりも
「腰痛で休む」という方が周囲に理解されやすいなど、社会的な要因も潜む。
  
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こうした慢性の痛みに対しては、自分で周囲や医師とうまくコミュニケーションをとり、
自分の状態やストレスを認識して付き合うことも大切だ。
「でも、自分では気づかなかったり、認めにくかったりします。病院を選ぶときに、治療の
選択肢をたくさん示してくれ、心のケアも含めて、チームで向き合ってくれる専門医を
探せるといいのですが」と、NTT東日本関東病院(東京都品川区)ペインクリニック科の
大瀬戸清茂部長はいう。   
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出典 朝日新聞・朝刊 2008.11.10
版権 朝日新聞社

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画家 斉藤慶子先生
(私の気に入っている画家の一人です。数点所蔵しています)

<自遊時間>
昨日は元経団連会長の発言をとりあげました。
「失言」かどうかは、周囲が決めることではありません。
兵庫県知事のように本人が認めて初めて「失言」となります。
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日経新聞・朝刊 2008.11.13
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朝日新聞・朝刊 2008.11.13

両新聞の記事の扱いやその内容で、両紙のポリシーや立場がわかります。
日経新聞は大企業側に肩入れしており、朝日新聞は完全に逆です。
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