脂肪肝・メタボを解消!小分けダイエットのススメ

きょうは、最近のテレビ番組から東京医大第三内科の小田原雅人教授のお話を紹介します。

肝硬変寸前の肝臓を若返らせた驚異の女性!

奇跡を可能にした肝臓若返りの法則!「小分けダイエット」の正体とは?
重さ1.5キロと、内臓の中で最大の臓器である肝臓は、本来「老化」しない臓器。
肝臓の細胞は極めて再生能力が高く、一定の周期で新たな細胞に入れ替わるため、常にフレッシュな状態を保っているのです。
しかし、そんな肝臓も老化を余儀なくされてしまうことが。
その原因は、元を辿れば「意志の弱さ」。
ここに、その典型ともいうべき女性がいます。
彼女の場合、意志の弱さはリバウンドという形で現れました。誰の心にも潜む落とし穴…彼女のリバウンド地獄の結末とは!?


M・Yさん(51歳・女性)
今から26年前。
当時、身長157cm、体重42kgと、
スリムなスタイルが自慢でした。
しかし、子供が大きくなるにつれ、
その体型に変化が。


元々、甘いものが大好きだったのに加え、「子供には手作りのものを」と毎日ケーキを作り、残った分はもったいないと食べてしまう…。
そして、気づけば体重が30kgアップ。
そこで、一念発起してジョギングを開始!
しかし長くは続かず、その後も様々なダイエット器具を使うなどしてダイエットするも、すべて三日坊主。
その都度、我慢した反動でドカ食いに走り、体重も急増。典型的なリバウンドを繰り返していました。

こうしてダイエットを決意してから、およそ20年。48才になったM・Yさんの体重は90kgを越えていました。
ある日、風邪を引いて病院を訪れたM・Yさんは、勧められるままに血液検査を受けたところ、肝臓も検査することに。
すると…変わり果てた肝臓の異変が明らかになったのです。

これは、当時の彼女と同じ状態の肝臓。健康な肝臓と比べると、全体に黄色みを帯びているのが分かります。
彼女の肝臓は、脂肪をたっぷり蓄えた「脂肪肝」の状態になっていたのです。 
これこそ、肝臓の老化現象。

それだけでなく、肝臓の老化は思わぬ恐ろしい病をも呼び込んでいました。その病とは…糖尿病。


病名:糖尿病
肝臓に脂肪がついたことにより、M・Yさんは糖尿病を発症していました。
実は、脂肪肝と糖尿病は表裏一体。
カロリーオーバーの食事を続けると、余った糖が脂肪に変わり、肝臓に蓄積。
これこそが肝臓の老化の正体「脂肪肝」。
脂肪肝になると、糖分をエネルギーに変えるインスリンの働きを妨げる物質が分泌されます。
すると、血糖値を下げようと膵臓はさらに大量のインスリンを分泌。結果、膵臓が疲弊し、糖尿病を発症するのです。


脂肪についての解説
体内には脂肪を溜めるいくつかの場所があり、脂肪の付き方にも違いがあります。
皮下脂肪・内臓脂肪・肝臓脂肪の溜まり方は違うのです。

皮下脂肪;皮下脂肪は、皮の内側に溜まる脂肪です。
だんだん厚くなっていきます。

内臓脂肪;小腸の裏側には腸間膜というものがあり、これには腸を落ちないようにする役目があります。
内臓脂肪は、この腸間膜の表面にべったり付く脂肪です。

肝臓脂肪;肝臓の脂肪は、肝臓の表面に付くわけではありません。
肝臓の断面を見てみると、実際はもっと小さくて数が多いのですが、このように肝細胞がびっしり詰まっています。
内臓の表面にも付きますが、腸間膜に付くものが最も多いのです。
肝臓脂肪は、肝臓の細胞(肝細胞)の中に脂肪が溜まっていくのです。
健康な方の肝細胞はびっしり健康な細胞が詰まっていますが、脂肪肝の方の場合、白く抜けている部分が脂肪滴といわれる脂肪の塊。
そういったものが溜まってくるのが「脂肪肝」です。





脂肪肝・メタボを解消!小分けダイエットのススメ

脂肪肝は、いわゆる「メタボリックシンドローム」で起こってくる病気の一つでもあります。
その他にも、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積によって糖尿病や糖尿病予備軍、高血圧、脂質異常症中性脂肪が高い、善玉コレステロールが低い)などを併発するようになり、動脈硬化症を促進させてしまう病気です。
カロリーオーバーが原因の脂肪肝の場合、その改善には、医学的根拠に基づいた無理のないダイエットが効果的です。


意志の弱い人にお勧めのダイエットとは?
番組で「小分けダイエット」をして頂いた被験者の方は、間食に、カロリーのほとんどない野菜を食べて頂いただけで、わずか1週間で内臓脂肪が12.5%も減少していました。
 
内臓脂肪が減ると、脂肪肝も良くなっていきますので、しばらく続けて頂くと、内臓脂肪も脂肪肝も改善し「インスリンの効きが良くなる」ことにより、糖尿病の発症も抑えられる可能性があります。
 
このように意志が弱くて、食事のコントロールができない方や運動が続かない方でも、ちょっとした努力を続けることで、健康に一歩近づくことを分かっていただきたいと思います。
 
持続性のない極端なダイエット法は、長期的な効果が得られないだけでなく、かえって悪い結果を招くことが多いのです。
ダイエットの失敗からリバウンドすることにより、筋肉が減り、脂肪が増えるといった体にとって望ましくない結果になり、むしろ「インスリンの効き」が悪くなってしまいます。


「小分けダイエット」の3つのポイント
● できるだけバランスのとれた食事を、4~6回に小分けして食べる。
● その際、1日の総カロリーが増加しないよう配慮する。
● 3食以外の間食は、野菜などカロリーがほとんどないもので食欲が増強しないようにする。

運動についてもできるだけ、できることをこまめに行い、まとまった時間がとれる場合はまとまった運動を交えることも有効です。
ただし、運動によって消費されるカロリーは意外に少ないため、運動したからといって、カロリー摂取量を増やすと、痩せるどころかさらに太ってしまうこともありますので、用心してください。



<番外編>
健康情報番組のデタラメっぷり
http://www.youtube.com/watch?v=XSy2iw9081Q



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