意外に怖い不眠症 ①

高血圧・糖尿病リスク上昇  自律神経やホルモン分泌に変調


2月3日と毎月23日は「不眠の日」。
睡眠の大切さを啓発する目的で2011年、日本記念日協会に認められた。
日本人の約5人に1人が不眠の悩みを抱えており、50代後半から増える。
不眠症は高血圧や糖尿病など様々な病気にかかるリスクが増す。

■不調に気づかないで放置している人もいる。
睡眠は食事や運動とともに健康を維持する大切な要素だが、日本人の意識は低い。

韓国人の次に短い日本人の睡眠時間
■09年の調査によると、経済協力開発機構OECD)加盟国の中で日本は韓国の次に睡眠時間が短いとされる。
海外ではかかりつけ医に相談するのに、日本では不眠で困っている人のほぼ半数が相談しない。

鬱病との関連性は知られているが、不眠症の人は高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかるリスクが高まる。
米国の大規模な調査で明らかになっているほか、日本でも同様の結果が出ている。

■大手通信会社の男性社員を調べたところ、床についても眠れない入眠障害がある4800人は、4年後に高血圧になる割合が普通に眠れる人の約2倍になった。
電機会社の男性社員約2600人を対象にした調査でも、入眠障害の人は8年後に糖尿病になる割合が約3倍に膨れた。

■睡眠不足が慢性化すると、自律神経やホルモンの分泌といった体内の調節機構そのものが変調をきたすため、あらゆる病気のリスクが高まる。

■短時間睡眠を1週間続けると、健康な人でも体内で分泌されるホルモンの一種インスリンに反応しにくくなり、血糖値が上がることがわかっている。一晩徹夜しただけで血圧は10ほど上昇するという。

■米国などの研究から、睡眠時間が短いと肥満になりやすくなることもわかってきた。
原因は夜更かしをする人は夜食をとりがちだからだけではない。
不眠が続くと、食欲を増すホルモンのグレリンの分泌が増え、逆に食欲を抑えるホルモンのレプチンの量は減るためとみられている。

■高血圧症患者を降圧剤で血圧を下げると、睡眠時間は同じでも睡眠の質がよくなったという報告もある。しかし不眠症生活習慣病を引き起こす詳しい仕組みはわかっていない。

不眠症の原因は様々で、悪循環を招く要因を取り除くのは難しい。
音や明るさなど周囲の環境要因のほか、アルコールやニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用など生活習慣の影響も大きい。
ストレスも不眠症を招きやすい。
家族の死やリストラなど原因がはっきりしている場合は対処方法が見つかる可能性があるが、職場などの日ごろの不満の積み重ねが影響する場合も少なくない。

■リラックスが大切
不眠症を解消し質の高い睡眠をとるには、まず生活習慣を見直し、睡眠のリズムをとること。
眠くなってから就寝し、30分たっても寝つけなかったら床を離れてもよい。
眠れないと悩むと鬱病の原因にもなりかねない。

■食事は寝る2~3時間前までに済ませる、ぬるま湯に時間をかけて入浴する、単調なリズムの音楽をゆっくりと流す――などが不眠解消に効果的といわれる。

■大切なのは寝る前にどれだけリラックスした状態に自分をコントロールできるかだ。
眠気を誘うため寝酒に頼る人も多いだろう。
しかし、アルコールは脱水作用があり夜中にトイレに行きたくなり、質のよい眠りを妨げやすい。

<関連サイト>
不眠症」の対処法 厚生労働省の健康情報サイト「e―ヘルスネット」
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

「かくれ不眠」 「睡眠改善委員会」のサイト
http://www.brainhealth.jp/suimin/


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出典  日経新聞・朝刊  2013.1.27
版権  日経新聞