E型肝炎患者の増加

E型肝炎の患者最多に 14年154人、豚生食など原因か

腹痛や発熱を引き起こし、重症化すると死亡することもあるE型肝炎の患者報告数が2014年に154人(暫定値)に達し、過去最多を更新したことが7日、国立感染症研究所の集計で分かった。

2015年も4月中旬までに50人を超えている。
豚肉の生食が原因となっている可能性があり、専門家は「豚や野生動物の肉は十分加熱して食べてほしい」と呼びかけている。
 
肝炎では、B型やC型が主に血液で感染するのに対し、E型はウイルスに汚染された食べ物や水を通じて感染し、急性肝炎を引き起こす。
平均6週間の潜伏期間を経て、発熱や腹痛、黄疸、肝機能低下などの症状が出る。通常は一定期間安静にすることで自然に治るが、急激に症状が悪化した場合、肝臓移植などの治療が必要になることもある。

日本では海外からの帰国者が発病する病気と考えられてきたが、近年、ウイルスに汚染された豚、イノシシ、鹿の肉やレバー(肝臓)などの内臓を生で食べたことにより、感染が広がっている実態が分かってきた。
 
感染研が14年のE型肝炎の患者報告数を全国の保健所を通じて調べたところ、前年比27人増の154人に上った。
 
また、14年までの3年間の224症例について推定される感染源の食材を調べた結果、「不明」の6割を除くと、豚が約3割を占めて最も多く、次いで1割前後のイノシシ、鹿の順だった。豚による感染が疑われる症例の半数近くがレバーを食べており、生で食べている人もいた。
 
患者数の増加については、血液診断の方法が簡易になり、感染患者が顕在化した側面もある。

新鮮か否かに関係なくウイルスは存在する。
豚やイノシシ、鹿などの野生動物の肉や内臓は十分加熱して食べる。
 
厚生労働省の専門家調査会は昨年、E型肝炎ウイルスに感染する恐れがあるなどとして、豚の肉・内臓の生食を禁じるべきだとする報告書をまとめた。
これを受け、同省は食品衛生法に基づく規格基準で、生食用としての提供を禁止する方向で検討を進めている。

出典
日経新聞・長官 2015.5.8