高齢者の貧血

高齢者の貧血 病気が隠れていることも

採血検査で確認
貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが正常の状態より低下することだ。
したがって採血しなければ貧血の有無や程度、種類もわからないため、定期的な採血検査が必要となる。
 
もともと年齢を重ねるとともに、赤血球を造る力は低下する。
男女ともヘモグロビン値11.0g/dL未満は貧血と考えてよい。

高齢者の貧血の特徴
高齢者の貧血は、若い人と異なり、ほとんどの場合発症は緩やかだ。
典型的な息切れや動悸、倦怠感などの貧血症状というより、心不全肺気腫などと症状が紛らわしいことが特徴で、何らかの病気が原因となって起きる続発性貧血が約80%を占める。
 
そのため、貧血の原因を調べているうちに隠れていた病気が見つかることがある。
例えば赤血球が小さくなる貧血は、ほとんどが胃や大腸などの消化管から出血し鉄が欠乏するために起こる。
そして検査をするとがんが見つかることも少なくない。

病気により貧血になることも
甲状腺ホルモンやビタミンが欠乏して貧血になることもある。
 
特に胃全摘をした方は、ビタミンB12の吸収に必要な物質を分泌する胃がないため、手術後5〜10年で体内に貯蔵されているビタミンB12が枯渇して大球性の貧血になる。
 
他にも葉酸亜鉛、ビタミンB6の欠乏でも貧血になる。
これらは欠乏しているものを補充すると改善する。
 
血液が造られる過程で異常が発生し、赤血球、白血球などの血球が減少する骨髄異形成症候群は、高齢者に多い血液疾患だ。

いずれの病気でも、早く見つけて早く治すのが治療の秘訣だ。
日頃からかかりつけ医をもち、定期的に体調について相談しながら、症状に応じて専門医の紹介を受けよう。

高齢者の貧血の内訳
悪性腫瘍 28 %
感染症 15 %
がん以外の消化管出血 8 %
骨折 7 %
腎疾患 6 %
血液疾患 5 %
関節リウマチ 5 %
肝硬変症2 %
甲状腺機能低下症 1%
その他 23 %