こむら返り

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ビュッフェ 1967年制作レゾネ図版
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夜寝ているとき、ふと足を伸ばしかけた途端に激痛が走って、
あまりの痛さにベッドの上で固まったことのある
人も多いのではないでしょうか。
なった時には辛さと一抹のおかしさが複雑に交差します。
当院でも、この「こむら返り」で悩んでいる方の相談をよく
受けます。
またコレステロールを下げる薬(スタチン)や血圧を下げる
薬の一部(ベータ遮断剤)でも副作用としてみられることが
あります。
相談を受けた時にはこちらの薬のせいではないだろうかと
まずは処方内容をチェックするようにしています。

さて「こむら返り」はふくらはぎや足の裏の筋肉が突然
けいれんを起こし、強い痛みを伴うものをいいます。

こむら返りは、このように就寝中に足を伸ばしたときに多い
のですが、普段運動不足の人が十分に準備運動をしないまま
スポーツをしたとき、冷たいプールで水泳をしたときなどに
起こりやすいといわれています。
また、糖尿病や肝疾患のある人、高齢者や妊婦などにも
起きやすいことが知られています。
他には腎不全、血液透析甲状腺機能低下症、妊娠、
下肢静脈瘤、胃切除後遺症、脊柱管狭窄症、薬剤
(スタチン、ベータ遮断剤など)服用などがあり、
脊髄性筋萎縮症や多発神経炎、McArdle病などの特殊な状態
でも出現します。
こむら返りは痛みを伴うので不愉快なものですが、これらの特殊な
病気が背景になければ、あまり気にすることはありません。


実は、このこむら返り。
ある筋肉だけが強く収縮し続ける“異常収縮”の状態になっているのです。
こむら返りの「こむら」とは「ふくらはぎ」のことをいいますが、
太ももや腹部、足の裏など、ほかの筋肉にもこむら返りは起きます。
全身に起こる里吉病ともいう「全身こむら返り」もあるぐらいです。

何故起こるかを少し考えてみましょう。
ちょっと難しい話になります。
通常、人の体の細胞内にはカリウムイオンが、また血液中には
ナトリウムイオンが多く含まれているが、筋肉が収縮するときには
脱分極が起きて、カリウムイオンとナトリウムイオンはそれぞれ
細胞外、細胞内へと移動します。
しかし、血液中の水分が不足していたり、電解質のアンバランスが
あったりすると、この移動がうまくいかず、筋肉の収縮が正常に
できなくなるといわれています。

実際、スポーツなどで多量の汗をかいたとき、妊娠中でカルシウム
マグネシウム不足が続いているとき、下痢による脱水が起きている
ときなどは、電解質のバランスが崩れ、神経や筋肉は興奮しやすく
なります。
特に、汗と一緒にカリウムなどのミネラル分も失いやすい夏場は
要注意です。
熱中症でもみられのはこうした理由からです。
また、下腿静脈のうっ血やふくらはぎの腓腹(ひふく)筋の過労が
原因で、こむら返りが起こることもあります。
糖尿病や腎不全、肝硬変のある人では、やはり代謝の異常が原因
であると考えられているのです。

こむら返りの予防には、カリウムやカルシウム、マグネシウムなど
電解質を補給するために、野菜や果物、海藻類、牛乳、小魚など
をバランスよく食べることが大切です。
少し細かい話に」なりますが、野菜は煮るとミネラル分が流出して
しまうので、煮汁も料理に使う、みそ汁を具だくさんにする工夫を
して下さい。

また、ビタミンB1も筋肉代謝には重要な成分といえます。
最近は、ファーストフードばかり食べてビタミンB1不足になって
いる人も増えています。
スローフードを心がけ、卵や豚肉、ぬか漬けなど、ビタミンB1
を多く含む食品を食べるようにしましょう。

ほかにこむら返りの予防対策としては、運動をする際には、
準備運動を欠かさないこと(水泳の前の準備運動は常識ですよね)、
スポーツドリンクなどを飲んで水分や電解質を補給することも
必要です。
寝る前には、軽いマッサージやストレッチをするのもいいかも
知れません。

なお、それでもこむら返りが起きてしまったときは、片方の手で
痛いところをやさしくさすって、もう片方の手で、足のつま先を
ゆっくり顔の方へ曲げるようにして、ふくらはぎの筋肉をよく
伸ばしましょう(予防も処置も筋肉をのばすことが大切です)。
そうすれば、少しずつ痛みは治まります。

漢方薬芍薬甘草湯は予防によく用いられます。

以上
こむら返りはなぜ起きる?
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/404/404652.html
  を参考にさせていただきました。
こむら返り
http://www.health-net.or.jp/kenkozukuri/healthnews/100/090/k737/index.html
タウリンとこむら返り
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/hoken/eiseik/topics/topic5/topic5.html

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