朝一番のコーヒーはNG

野菜を先に食べる「ベジ・ファースト」という考えがあります。
“老化を早める原因”を抑える食べ方についての記事を紹介します。

朝一番のコーヒーはNG 老化を防ぐ調理法と朝の工夫

野菜は大きめに切ってよくかむ、加熱しすぎない
抗酸化力が強く、秋冬野菜の代表格でもあるゴボウやレンコンなどの野菜は、大きめに切って。
かむ回数が多いと量が少なくても満足感があるため過食を防ぎ、肥満の予防にもなる。
一口30回以上かむとなおいい。
また、ニンジンは、ゆですぎると、白米と同じくらい血糖値が上がりやすくなるケースもあるので、加熱しすぎに注意する必要がある。

朝こそ「低GI」の食事を
血糖値の上昇が穏やかな低GI[注1]の食事に変えるなら、朝食がおすすめ。
朝食後の血糖値上昇を抑えるだけでなく、昼食後の血糖値上昇を抑制する効果もあるため。
例えば、食物繊維が豊富なマイタケとご飯を朝食に食べた後、昼食にご飯だけ食べた試験では、朝食後だけでなく、昼食後も血糖値の上昇が抑えられた。

※[注1]グリセミック・インデックスの略。食品を食べた後の血糖値の上昇しやすさを示す

「すきっ腹にコーヒー」は控えて
朝一番や食時前にコーヒーを飲む人も多いのでは。
でも、カフェインの多いコーヒーはインスリンの利きを悪くして、血糖値を上がりやすくするという報告がある。
甘いパンなどのGIの高い食事と一緒に飲んだ場合も、同様の結果が。
コーヒーを飲むなら食後がいい。

白米よりも大麦、雑穀炊き込みご飯を
白米に比べて、雑穀や大麦、玄米ご飯はGI値が比較的低く、食後の血糖値の上昇を抑える。
食物繊維の量が大きく影響するため、30%以上は混ぜるとよい。
ほかにもキノコやゴボウ、シラタキなど食物繊維豊富な具だくさんの炊き込みご飯もおすすめ。

夜遅い時間の食事は避ける
夜9時以降など、遅くとも寝る2~3時間前の食事は避けて。
夜間も食後の血糖値が高い状態が続くので肥満を招きやすく、カロリーのとりすぎにもつながる。
体内時計やホルモンバランスなどにも悪い影響が出る。
このような食生活は、いずれ糖尿病を発症する。

加工食品はなるべく減らす
老化たんぱく質(AGEs)を、直接食品から摂取してしまうこともある。
食品由来のAGEsの10%が腸管から吸収され、そのうち約6~7%は2~3日間は体の中に残存することが分かっている。
また、体の中にあるAGEsの55~60%が食べ物由来といわれている。
市販の食品を調べた結果では、高温で長時間調理したスナック菓子などの加工食品は、AGEsをたくさん含むことが分かった。
加工食品はなるべく減らして、家庭で食材を調理して食べるとよい。

便秘解消で早く体外へ排出
AGEsが、腸管から体内に吸収されるスピードはゆるやか。
そのため、腸の中の滞留時間を減らすことで、体内に吸収する前に便と一緒に出ていく。
腸内環境を普段からよくして、便秘をしないようにすることも大切。

AGEsは、人が生きる過程で体内に発生するもの。
ゼロにはできませんが、食べる順番や食材選びなど、体内のAGEsを増やさない方法を知識として頭に置いておき、食事を楽しみながら、できるところから実践するとよい。

お酒なら赤ワインをシメ対策はそばで
“とりあえず1杯”は、赤ワインを選んだほうがよさそう。
食前に、ビールやジン、赤ワインを飲んで血糖値の上昇を比較したところ、赤ワインが最も上がりにくい、という報告がある。
さかなは、GI値の低い酢の物や冷ややっこなどにして、シメは、お茶漬けよりそばを選ぼう。
ナメコやとろろ入りなら血糖値もさらに上がりにくくなる。


~“ベジ・ファースト”で血糖値の急上昇は本当に抑えられるのか?~

野菜を食事の最初に食べる“ベジ・ファースト”は、本当に血糖値の上昇を抑えるのか? 
本連載の第1回でカレーライスと野菜サラダを食べる実験を参考に、編集部員3人が試してみた。

“サラダが先”で実際に差があった! 麦ご飯はさらに血糖値を抑える
サラダを食べてからカレーライスを食べたほうが、カレーライスを先に食べるよりも、血糖値の上昇が穏やかになる、というのは本当だった。

カレーライスを先に食べると、食べ始めから30分で血糖値が最高値に達したのに対して、サラダを先に食べた場合では90分以降に最高値に達した。
血糖値の上昇幅も、食後30分では3人の平均で約30mg/dl低く抑えられていた。
また、サラダを先に食べると、カレーライスを先に食べた場合に比べて血糖値の上下幅が小さく、下がっていくスピードも穏やかになっていることが分かる。

ご飯の半分を大麦にしてみると、血糖値の上昇するスピードも上下幅ともに、さらに穏やかになっていて驚いた。
大麦は食物繊維が多く、精白米の約19倍も含んでいる。
大麦は、かむとプルンとした弾力がある。
かむのに時間がかかり、食べるスピードが自然とゆっくりになっていたことも、血糖値の変化に影響していると考えられる。

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出典 日経ヘルス プルミエ 2011.11.21(一部改変)
版権 日経新聞


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