危ない睡眠に気をつけて

日本人の5人に1人が睡眠の悩みを抱えているという。
不眠症や過眠症といった眠りに関する病気は約80種類もある。
なかには体からSOSのサインが出ているものもあり、要注意。
放っておくと危ない睡眠の見分け方は?。

■大きく分けて3タイプ
睡眠障害は大きく3タイプに分かれる。
まず、昼間に強い睡魔に襲われる「過眠症」。睡眠時間を十分とっているにもかかわらず、車の運転中や仕事中に耐え難いほど眠くなる。
過眠症をもたらす代表格が「睡眠時無呼吸症候群」。
睡眠中に10秒以上続く呼吸停止が1時間に5回以上あると、この病気の可能性が高い。
低酸素状態が続くことで、高血圧や脳卒中、心疾患など様々な合併症も引き起こす。
大きないびきをかくのが特徴だ。

過眠には服用している薬の副作用が影響している場合もある。
特に、風邪薬や花粉症の治療薬などに含まれる抗ヒスタミン剤は飲むと強い眠気に襲われる。
就寝前に飲んだ薬の副作用が朝になっても残る場合がある。

2つ目は不眠症で、患者数が最も多い。
単なる寝不足と軽くみがちだが、慢性的な睡眠不足は生活習慣病が原因の可能性がある。
特に怖いのが糖尿病で、糖尿病患者には、不眠症も過眠症も多い。

糖尿病になると「むずむず脚症候群」になることもある。
寝床に就くと足に虫がはうような感じになり目覚めてしまう症状は糖尿病の初期段階に出やすい。
足がしびれたりこむら返りが頻繁に起こったりする。

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■理想的な時間には個人差
誤解しがちだが、睡眠不足がそのまま不眠症というわけではない。
「理想的な睡眠時間は7時間」とするのは俗説で、個人差があり、年齢を重ねれば減る傾向にある。
不眠症の目安は5時間以下。

気をつけたいのが3つ目の異常行動だ。
夢を見るレム睡眠中に夢の内容に合わせて体が動いてしまう「レム睡眠行動障害」が最近増えている。
例えば、泥棒の夢やけんかの夢をみて、寝ているのに大声を出したり、一緒に寝ている家族を殴ったりする。
家具や壁にぶつかってけがをしても、本人は覚えていない。

こうした異常行動はこれまでは単なる寝ぼけと思われていた。
夢は目覚めると忘れてしまうことが多いが、レム睡眠行動障害の患者ははっきりと覚えている。
50代以上の中高年に多いとされる。

レム睡眠行動障害を「パーキンソン病」や認知症の一種である「レビー小体型認知症」の初期症状とみる専門家もいる。
患者の半分が認知症になったとする海外の報告もあるという。

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■かかりつけ医などに相談
危ない睡眠ではないかと疑われるときは、どうすればよいのか。
まず、かかりつけ医や心療内科に診てもらおう。うつ病で不眠になることも多い。
処方された睡眠薬などで治らない場合には、睡眠外来を掲げる病院をたずねてみよう。

睡眠外来では、まず問診で原因を探る。
物忘れが多い場合などは認知症の疑いがある。
精密検査が必要だと判断されれば、専用の部屋で1晩泊まり、脳波のほかに、あごや足の筋電図をとり、目の動きや呼吸などを測る。
これでほぼ原因は突き止められる。
睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群の疑いがあれば、専門医の指示を受けたい。

日中に頻繁に眠ってしまうなど、仕事に支障が出るかどうかが、専門医に診てもらう一つの目安になる。2日に1日は早く寝て疲れをためないようにするのが理想。
睡眠を決して軽視せずに、健康維持にとって欠かせない時間と考えてほしい。
(松田省吾)
出典 日経新聞・朝刊 2012.1.15
版権 日経新聞


<自遊時間>
公務員総人件費に上限 行革実行本部の改革案が判明
31日発足する政府の行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)の検討課題が明らかになった。
国家公務員制度の改革が柱。
人件費の総額に上限を設け、年金の優遇を見直す。
消費増税の前提とする「身を切る改革」に位置づける。

政府全体の総人件費を抑える方策を明記。
行革実行本部がすべての省庁を対象に年度ごとに「総人件費管理計画」をつくり、総人件費の上限を決める。
各省庁はこれに沿って採用や昇格を抑制する。
超過勤務手当や広域異動手当、本府省業務調整手当といった諸手当も減らしていく。

出典 朝日新聞・朝刊 2012.1.30
版権 朝日新聞社

<私的コメント>
この記事で思い出したのは、以前国家公務員の総定員を減らすということで、主として教育関係、医療関係(具体的には国立大学や国立病院の独立行政法人化や国立大学法人化)が国家公務員から切り離されたことです。
要するに弱者にしわ寄せさせて削減の数合わせをしたのです。
もちろん、この分野の人員削減もしっかり行われました。
「すべての省庁を対象」ということですから、前回とは違うのかも知れませんが、「総人件費管理計画」という言葉が引っかかります。