肩こり

つらい肩こりを何とかしたいと思ったとき、定期的なマッサージもひとつの方法。
ただ、肩こりの元をたどって改善することが大切です。
具体的には腹筋の強化や肩甲骨の運動、睡眠不足や目の疲れの解消などがそのポイントです。

肩こりの原因のひとつは、肩からは少し遠い腰まわりと関係があります。
成人の頭の重さは6~7キロ前後あり、それを支えながら人は日々、動いているのです。

「皿回し」に例えれば、皿が頭で、回すさおが背骨、さおを持つ手元が腰の部分にあたります。
つまり、腰まわりの腹筋などがしっかりしていないと、頭が不安定になり、肩こりにつながるという理屈です。


肩こりは「もと」から改善 肩甲骨のずれを正す

まず腹筋を強化
■肩こりの改善には腹筋を鍛えることが大切。
さらに、肩甲骨のゆがみを正すことも必要。

■加齢や運動不足で腹筋が弱い人は、首から左右の肩甲骨にかけてヨットの帆のように広がる僧帽筋に、頭を支える負担がかかります。
肩こりに悩む人の多くは、僧帽筋を支える肩甲骨がゆがんでいるともいわれます。

■肩甲骨のゆがみのパターンには3つあります。
① 左右の肩甲骨が体の外側に扉のように開く「扉タイプ」
② 前に傾いている「お辞儀タイプ」
③ 肩甲骨の下部が左右に開いている「八の字タイプ」

■中には混合タイプの人もいます。
扉タイプは、パソコンやスマートフォンを長時間使い、下を向く姿勢が続く人に多いのです。

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僧帽筋は筋肉の中でも大きな部類に入るため、酸素消費量が多いのです。
長時間の肩こりで損傷を受けた筋肉を修復させるためには、十分な睡眠による酸素の補給も欠かせません。
肩こりと睡眠時間については、6時間半から7時間程度の睡眠をとれば、肩こりが改善する傾向があることが分かっています。

■目の疲れが肩こりの主因と見る眼科医もいます。
メガネやコンタクトの度数が自分にあっていないことが原因で肩こりになる人も多いということです。

■遠くばかりがよく見えるレンズを使ったり、加齢で老眼が進んでいたりすると、近くのものが見えにくくなります。
手元を見るときに、なんとかピントを合わせようとすると副交感神経が刺激され、血流の低下につながります。
その結果、目には疲労物質がたまり、肩の筋肉の温度も下がって肩こりにつながるといわれています。

老眼に備える
■普段、メガネをかけていても手元を見る際は外す人がいます。
それは遠くばかりがよく見えるメガネの証拠。
30代半ば過ぎからは老眼対策を意識したいものです。
メガネやコンタクトは遠近両用タイプが理想で、遠くがよく見えるだけではダメです。
手元から遠くまで自然に連続的に見え、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶのが肝心というのが眼科医の考え方です。

■また「度数が強いと目が疲れるから」と弱めると、逆に遠くを見る際、見づらくなり、その分、目に負担がかかります。
そのギリギリのところのちょうどよい度数を探るのがカギとなります。

■山登りする際と通勤とで靴をはきかえるのと同様、メガネやコンタクトレンズも運転や仕事などの用途に応じ、遠くを見るのか、近くを見るのかを意識してかけかえるようにします。
ひとつですべてを見ようとすると眼精疲労をもたらし、肩こりは解消しません。


左右のバランスも大切
■肩こり予防には「左右のバランス」を意識することも大切です。
気が付けば、いつもバッグは右肩にかけている、という人は意識して左肩にもかけ、左右交互のバランスに配慮したいものです。
足を組む時も同じ。
くせでいつも同じ組み方をしていると、骨や筋肉のバランスをくずすことがあります。

■女性の場合、ハイヒールを履くと、どうしても前傾姿勢になり、小股歩きになります。
小股で歩くと骨や筋肉の左右のバランスがくずれやすくなり、肩こりを招きます。
ハイヒールをよく履く女性の場合、ヒールがほとんどない靴で週2回、ひざを軽く曲げながら、大股で腕を振って15分程度歩くとよい、と専門家はアドバイスしています。

■ふだんの生活でも、両足で立っていると骨盤が傾いていることが多いといわれます。
一方、片足立ちをすると、体はバランスを保とうとして、自然と重心をシフトさせます。
自分の体を物体としてとらえ「常にその重心がかたよっていないかを意識することが大切」です。
立って洗い物をする時などに片足立ちを交互に繰り返すのも一つの方法です。

出典 日経新聞・朝刊 2014.2.22(一部改変)
版権 日経新聞


          
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                  2014.4.4 撮影