運動不足で進む「老化」 インターバル速歩で解消

運動不足で進む「老化」

「若いころのようにはいかない」。
歳を重ねるとともに体力の低下を感じる。
運動不足による体形の変化や生活習慣病も気になる。
今はよくても、いずれ日常生活に支障が出るかもしれない。
対策は今のうちから体力をアップしておくこと。
速く・遅くを交互に繰り返して歩く「インターバル速歩」は、手軽にできる運動不足解消法の一つだ。

年を取っても今の体力をできるだけ維持し、将来も自立した生活を送りたい。
そのためには日ごろの運動が必要だ。
だが忙しい人や運動習慣のない人にとっては、それが難しい。

インターバル速歩は「ややきつい」と感じる程度に3分間サッサカ歩き、3分間ユックリ歩く。
「サッサカ」ではずんだ息を「ユックリ」で調える。
それを交互に繰り返していく。
1日30分~1時間。
30分なら「サッサカ」と「ユックリ」1セットを5セット。
これを週4日する。

■分割しても効果
インターバル速歩は5セットを一度にまとめてしなくても効果が出る。
自分の生活スタイルに合わせやすい。

人間の体力は20歳代がピーク。
30歳以降、歳を10歳とるごとに5~10%ずつ衰える。

とくに40歳を過ぎたあたりから、下降カーブが急になる。
ただ、50~60歳代までは衰えがあっても、他の部位で補うなどして自分では日常生活に支障を感じない。
しかし、そのままにしていると70歳代で、要介護の状態になりかねないため、体力を維持する運動の継続が必要になる。

インターバル速歩は、だれでも、どこでも、いつでもでき、お金もかからず、長続きしやすい運動で体力向上の効果が上がる最良の運動処方ともいえる。

ある研究グループは全身運動になるウオーキングで1日1万歩に着目したが、思った効果が得られなかったという。
運動生理学では、その個人の最大体力の70%以上の運動を一定頻度で、一定期間すると効果があるという基本理論がある。
単にウオーキングをするだけでは、最大体力の70%以上の運動になりにくかったのだ。

インターバル速歩で効果をあげるポイントは、「ややきつい」と感じる高負荷の運動(その人の最大体力の70%以上)を加えること。
自分の最も速い歩きを100としたら速歩は70くらいの速さ。
3分もすれば胸がドキドキして息がちょっとはずむ程度。
心拍数を測らず、感覚的な判断で構わない。

インターバル速歩を続けて運動不足を解消することで、生活習慣病の予防や改善の効果も期待できるという。
5カ月間続けた人には、血圧、血糖値、肥満度を示すBMI(体格指数)などの数値改善が見られた。

運動不足や加齢が筋肉の萎縮や全身性の慢性炎症を引き起こし、糖尿病や動脈硬化など様々な生活習慣病につながることがわかってきた。予防するためには筋肉をつければいいのだが、とりわけ筋肉が太い大腿筋を強くするのが効率的だ。


■60分以内に牛乳
運動後60分以内に牛乳を飲むなどして乳糖(ブドウ糖)と乳たんぱく質アミノ酸)を補給するとさらによい。
筋肉の吸収率が高まるこの60分は、効果的に疲労を回復させ、筋肉の肥大に役立つゴールデンタイムだ。

インターバル速歩は、生活の中で効果を実感でき、前からやっておけばよかったという声も多い。
達成感も得やすい。
まずは2週間続けてみたい。
体力がついてくると、いろいろなことに挑戦する意欲も高まってくる。


うつ病などの運動療法に活用
インターバル速歩を病気の治療に活用しようとする動きもある。
コペンハーゲン大学デンマーク)の研究によると、2型糖尿病患者がこの運動を取り入れたところ、インスリン抵抗性の数値が改善したという。
インターバル速歩をすることで、うつ傾向の改善が見られた、という研究もある。
このほか、遺伝子の働きとインターバル速歩とのつながりについても分析が進められている。

      
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出典
日経新聞・朝刊 2014.11.15



<インターバル速歩・関連サイト>
インターバル速歩とは?
      
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      http://www.jtrc.or.jp/interval/


<運動不足・関連サイト>
運動不足は老化10年分
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/15577408.html