冷え性

最近の新聞記事からの紹介です。

「万病のもと」・生活習慣見直しを

布団に灰入っても足が冷たくてなかなか眠れない。
着込んでいるのに、体がスースーする。
冬につらいのが冷え性だ。
その「冷え性」、実は体調不良が原因かも知れない。

■ ■ ■

東京女子医大の川嶋朗准教授は「冷え性は万病のもとです」と力説する。
胃腸の不調、アレルギー、頭痛、便秘、疲労が取れない……。
症状を訴える患者を触診すると、おなかが驚くほど冷たいことがあるという。
「冷え」を訴えるのは女性に多いが、男性でも冷えている人は多いとみられている。

「冷え症」は東洋医学の概念だ。
あくまで自覚症状なので、客観的な診断基準はなく、なぜ、そうなるのかはっきり
わかっていない。
西洋医学には定義すらない、やっかいな「病気」なのだ。

あえて言うなら、「血流不足や代謝の低下による熱産生不足でしょうか」と川嶋さん。
血液の流れが悪ければ、当然、体全体の機能が落ちるというものだ。
血液は全身に栄養や酸素を運び、老廃物を運び出す。
血流が悪いと、栄養が行き渡らず、細胞が活発に働かなくなる。老廃物がたまり、
血管が詰まりやすくもなる。

川嶋さんは「免疫や代謝を担う酵素は、体の中の温度が37、38度で働く。
元気でいるためには、望ましい平熱は36度台後半。せめて36度の体温はほしい」
と話す。

原因が分からないとはいえ、対策はないのだろうか。

手っ取り早いのは、外から温めることだ。
まずは服で、おなかから太ももまでを温かくする。
血液や筋肉が多いため、手足を温めるより、効率
よく全身が温まる。
湯たんぽなどを利用するのもいい。

汗をかくと冷えるので、重ね着で調節する。
へそ出しやミニスカートは、冷え症には論外、ということになる。

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生活習慣を見直して体の中から温めることも大事と、指摘するのは、麻布ミューズ
クリニック(東京都港区)の渡辺賀子医師だ。

熱をつくり出すのは食べ物だ。
女性に冷え症が多いのは、そもそも熱の材料が足りていないのも原因の一つだ。

「温かくて消化のよいものを朝食に取りましょう。
今の季節なら、お鍋の残りでつくった雑炊なんてどうですか」

運動で冷えが解消できる。
熱生産の60%を担うのは筋肉だからだ。
もともと筋肉の少ない女性はもちろん、男性で
も、筋肉質でなければ、冷えている可能性がある。

自律神経の乱れも冷えの原因だ。
自律神経には交感神経と副交感神経があるが、昼間
の活動的な時に働くのは、交感神経。
交感神経は血管を収縮させ、体を冷やす。
ストレスも交感神経を優位にする。
緊張が続くと、いつまでも体が温まらない。
「きちんと休んで、血管を広げる副交感神
経にスイッチを切り替えよう。
それには、夜、ぬるめのお風呂にゆっくり入るのが効
果的」と話した。

          朝日新聞・夕刊 2007.11.26

<診察椅子>
四国一周旅行の帰りに姫路城に寄って来たという患者さんの旅行話。

『先生、姫路城の中の階段はとてもきついんですよ。登っている途中、
降りて来た見学客に「階段きついから気いつけてね」と声をかけられました。
「ありがとう」と返事をして、そのすぐにスリッパを落としてしまって、
その方の頭に直撃させてしまいました。』


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