眠れない高齢者が増加

眠れない高齢者が増加

近年、高齢者で不眠を訴える人の割合が増えています。
「眠れない」理由としては、加齢に伴う眠りの質そのものの変化や、別の病気の影響によるものなど、様々な原因があります。


眠りの質の変化
睡眠時間は、赤ちゃんの頃は約16時間、20歳では約8時間です。
その後40歳までの20年間で30分程度減少し、65歳になると6時間程度といわれています。
加齢に伴う変化は睡眠時間だけではなく、途中で目が覚め寝起きを繰り返すなど、深い
眠りが減少して効率も低下します。
また、早寝早起きの傾向が強まり、早朝に目が覚めやすくなります。
 
さらに、子育てを終える、定年退職を迎えるなど社会的役割の変化によって、日中の活動
量や人と接する機会が減少するなど生活リズムも変化し、睡眠の深さに影響を及ぼす傾向があります。

不眠になりやすい病気
不眠になりやすい病気には、糖尿病、高血圧、夜間頻尿、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、パー
キンソン病、逆流性食道炎、悪性腫瘍(がん)などがあげられます。
また、こうした病気の数が多いほど、睡眠に関する問題を抱えているという報告もあります。
 
加齢とともにかかる人が増える睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群も、睡眠に影響
も及ぼすといわれ、不眠の原因としてあげられます。
 
このように高齢者の不眠には、単に「歳をとったから」だけではなく、病気が隠れてい
ることもありますので、気になる症状がある時はかかりつけ医に相談しましょう。

東京慈恵会医科大学精神科准教授・小曽根基裕先生)
出典
日医ニュース 2015.8.20


私的コメント
加齢とともに平均睡眠時間が短くなるということをご存知ない高齢者だたくさん見えます。
その知識だけでも不眠の悩みが解消されることがあります。
まさに「知識もクスリ」です。